カナダファームステイ体験記


カナダ旅行記 : ガブリオラアイランド編

ずっと楽しみにしていたファームステイ。自然豊かなこのカナダの大地で自然の恵みを受けながら日々をおくる。 今その時がやってきたのだ。WWOOFが発行している本を購入した。その本にはWWOOFの制度を取り扱っているカナダ全土 の農家を紹介している。今回、向かう先はガブリオラアイランド。バンクーバー島近くに位置する離れ小島だ。

朝目がさめるとアザラシの鳴き声が聞こえる。それと同時に小鳥のさえ ずりまで。昼間はトンビがりんご畑の周りを旋回し、森の中からは野生の イノシシが現れる。ステイ先はりんご農家だった。アイクというおじちゃ んのカナディアンが一人で農業を切り盛りしている。ウーファーは私を含 め5人だった。日本人が2人にカナディアンが3人だ。日本人は建築の勉強を するためこの島にきており、カナディアンの女性1人は農業を楽しむため、 残り2人はカップルで、気がつけばここに流れついていたと言う。我々はウ ーファー専用の小屋に住んでいた。吹き抜けの小屋には小さな部屋が2つと リビングが1つあり、暖炉が備え付けられていた。食事は自分達で作り、材 料が底をつく頃には補給される。基本的には一度に量産し、みなでシェアす るのがお決まりだった。ここには製パン機があり焼きたてのパンを食べるの が好きだった。その他は、海で採った貝や魚、山から降りてきたイノシシな ど何とも飽きのこない食卓だった。仕事は朝の9時から昼の3時までだった。 りんごの木を植えるのが主で、ブルトーザーで掘った穴にスコップでりんご の木を植えていく。結構な重労働だったが思い切り働いた。もう一人のカナ ディアンと競うように働いていた。りんごの木はうれしい事に全て日本産だ った。アイクいわく日本のリンゴは世界一だそうだ。仕事が終わった頃には いつも汗でだくだくだった。シャワーを浴び夕涼みをしながらビールを飲む のが楽しみになっていた。そして落ち着いた頃に薪を割り暖炉に火をつける。 ぼちぼちと暗くなれば夕食の支度をはじめる。暖炉を囲みディナータイム がはじまる頃には、お互いの素性が知りたくなるのが人間の性である。カナ ディアンのカップルは28歳と18歳の年の差カップルだった。女性は18歳だと 言っていたが実際はもっと若い感じがした。2人は遥か東の町、ハリファック スから来たという。色々と訳がありそうな感じだったが、ここカナダのお国柄 を考えればなんとなく想像がつくような気がした。彼らはいつもマリファナを 吸っていた。ここカナダでは家庭で栽培している所も多く簡単に手に入るのだ。 当然、闇市場となるが、その市場価値は概算するとカナダ第2位の産業になるそ うだ。バンクーバーでも町じゅうのあちこちで吸っている人を見かけた。いっ その事、公にして税金をとった方が国のため、そして国民のためである。



カナダ旅行記 : パウエルリバ編

次に向かうはパウエルリバー。バンクーバー島の中ほどに位置するコースタルシティーだ。 ここでは夫婦とその息子2人で営んでいる農家にステイした。実質、農業をしているのは夫婦2人だ。 ウーファーはオレ一人だった。

ここは家畜で生計を建てていた。鶏、牛、豚、ヤギと言ったところだ。ここ での仕事内容は動物達への餌やりや小屋の掃除が主な仕事だった。いつも朝7時 に起き牛の乳しぼりからはじまる。その後は決められた順に動物達へ餌をあげて いく。昼間は小屋の手入れや、鶏を小屋から放すなどの小作業があった。晩の暗 くなった頃には、放した鶏たちが小屋に戻ったのを見計らい、鍵をかける。これ で一日が終わるのだ。中にはすんなりと小屋に入ってくれない鶏がいて非常にや っかいだった。鶏の尻を追っかけまわしたものだ。一日の作業時間は賞味5,6時 間といったところだが拘束時間が非常にながかった。生き物の世話をするのは大 変だと痛感させられた。フリーの時間は乗馬をしたり、チーズを作ったり、街中 を見学したりとそれなにり楽しめた。ここでの夕食は毎日が非常に豪華だった。 鶏料理が多く毎晩ワインが飲めた。食後にはトランプをするのが恒例だった。素 晴らしいひと時を送ることができた。ここの動物達はどれ一つとして名前がついて いない。最後には食用として始末してしまうからだろう。なんてことだろう。 毎日餌を与えていれば情がついてしまう。信じたくなかったがこれが自然の摂理な のであろう。そしてその日は意外にもすぐにやってきたのだ。ここにはヤギの親子 ずれがいた。放飼いにされており、いつも行動を共にしとても幸せそうだった。そ のうちの一匹の親ヤギが金網にひっかかり、乳を怪我したのだ。このヤギはミルク がしぼれないという理由で、その翌日に抹殺された。子やぎ達は母親を探してい た。どこを探したってでてくるはずもない。数日後、オレはこのファームを去った。




カナダ旅行記 : ガリアノアイランド編

次に向かうはガリアのアイランド。バンクーバー島近くの離れ小島だ。フェリーを乗り継ぎこの島へ向かった。 フェリー乗り場では次にステイするホストマザーがオレを出迎えてくれた。ここでは老夫婦2人で農業を営んでいる。 娘がいるがアメリカに嫁いで行ったそうだ。ここのオーナーは8ヶ国語が喋れるらしく、昔は国の機関で世界を飛び 回り活躍していたらしい。ウーファーは6人だった。日本人の男女が一人ずつ、カナディアンの男が2人にアメリカン の女性が一人だ。 季節は夏に移り変わろうとしていた。ここでの住居はトレーラーハウスだ。 庭のあちこちにトレーラーハウスが置かれていた。中は意外と広く、それな りに快適だった。ここでの仕事は動物の世話が主で豚、ヤギ、羊、鶏がいた。 豚、羊ともに数匹でヤギが50匹ほどいたとおもう。半数は生まれてまもなく の子やぎでとてもかわいかった。指を差し出すとくわえて吸い出すのだ。 毎朝7時30分に起き、子ヤギのミルクを準備した。哺乳瓶につめたミルクを子 ヤギ達に飲ませた後、30分程遊んであげる。屈むと背中からかぶさってきた り、耳をかじってきたりと甘えたいざかりだ。その後は薪を割ったり、フェ ンスの修理をしたりと日替わりの小作業があった。夕方になるとまた子ヤギ 達にミルクを与え、その後は親ヤギの乳を搾ったり、豚に残飯を与えたり、 鶏に餌を与えたり、羊に水を与えたりと言った感じだ。この作業をウーファー 5人で分担していた。週末になるとマーケットへ出向き、自家製のチーズやミル クを売った。マーケットには地元の農家が出展しており、商品は農作物から 工芸品、衣服とハンドメイドのオリジナル商品が多種多様にならんでいる。 島の外からのお客さんも結構いるようだ。 ここでは仕事という感覚がなく、むしろ楽しめた気がする。食事はホストマザー が作ってくれた。洒落たものはなかったが十分に満足のできる食事だった。 ここでの一番の楽しみはサウナだった。その昔ウーファー達が作ったそうだ。 夜になるとビールを持ち込んでサウナに入る。涼みにサウナを出ると夜空には 無数の星が輝いている。そしてあちこちに流れ星が見えるのだ。大自然のカナダ。 きっと空気が澄み切っているのだろう。あの流れ星の大群はいまでも目に焼きつ いている。